「出発は午前9時。僕は遥か遠くへ行く。昨日、妻が荷造りしてくれたバッグを持って」
エルトン・ジョンが1972年に発表した『ロケットマン』の冒頭である。
主人公・僕はまさに火星へと旅立つところ。
幼い頃、友達とチャンバラをした。ナイフ、鉄砲、マシンガン、ロケットランチャー……どこかで仕入れてきた言葉の響き。公園の草むらに隠れた少年たちの手には空想の兵器が握られていた。
それから月日が流れる。空想の兵器を振り回すことはなくなった。
連日報道される新型ミサイル「火星シリーズ」。それの迎撃用に配備される兵器。普通に暮らしていても人間を殺戮する道具の名を覚えてしまう。物騒な時代だ。
トランプ大統領と金委員長の間で行われる言葉の応酬。国と国のリーダー同士とは思えないほどスケールの小さい諍いが、皮肉にも国際社会という大きなスケールで行われている。
言葉という武器が、いつか本物のロケットに変わらないように、今はただ日々を過ごすしかない。今日も誰かの愛情を感じながら。
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